経営者の皆様、日々の業務お疲れ様です。秋野彰子税理士事務所です。
いよいよ明日から10月ですね。ニュース等で「10月からふるさと納税が変わる!」という話題を耳にして、気になっている方も多いのではないでしょうか。
「10月からふるさと納税がお得じゃなくなるの?」「もう寄附しない方がいい?」とご相談を受けることも増えてきました。
今回は、目前に迫った「2026年10月のふるさと納税の改正ポイント」を分かりやすく解説するとともに、経営者・個人事業主が陥りやすい「上限額の罠」と、賢い活用法についてお話しします。
目次
ふるさと納税、10月から何が変わる?2026年の改正ポイント
結論からいうと、10月以降もふるさと納税による税金の控除の仕組み自体は変わりません。今回の改正で主に変わるのは、返礼品などに関するルールです。
① 返礼品の「地場産品」基準がより厳格に
ふるさと納税の返礼品は、その地域と一定の関係がある「地場産品」であることが求められています。2026年10月からは、この基準がさらに厳格化されます。
地域内で製造・加工しているというだけではなく、その地域でどの程度の付加価値が生み出されているかなどが、より明確に求められるようになります。そのため、これまで返礼品として掲載されていた商品の中には、今後、内容の変更や取り扱い終了となるものが出てくる可能性があります。
② 寄附金額や返礼品の内容が変わる可能性も
制度改正への対応によって、以下のようなケースが考えられます。
- 必要な寄附金額が変更される
- 返礼品の内容量が変更される
- 返礼品そのものが取り扱い終了になる
ただし、10月からすべての返礼品が値上がりするわけではありません。返礼品や自治体によって対応は異なりますので、気になる返礼品がある方は最新の情報を確認しましょう。
③ 税金の控除の仕組みは変わらない
今回の改正で、ふるさと納税による所得税・住民税の控除の基本的な仕組みが変わるわけではありません。
一定の上限額までは、自己負担2,000円を除いた金額について、所得税・住民税から控除を受けることができます。そのため、10月以降に寄附をしても、ふるさと納税の税制上のメリットがなくなるわけではありません。
そもそも、なぜ「実質2,000円」でお得になるの?
ふるさと納税とは、自分が応援したい都道府県や市区町村に「寄附」をする制度です。税法上は「税金が安くなるネットショッピング」ではなく、あくまで自治体への寄附金として扱われます。
最大の魅力は、一定の上限額までであれば、寄附した金額のうち2,000円を超える部分が、所得税と住民税から控除(マイナス)されるという点です。
例えば、ご自身の上限額の範囲内で5万円を寄附した場合、自己負担の2,000円を差し引いた「48,000円」が税金の控除対象となります。
- 確定申告をする場合:「所得税からの還付(指定口座への振り込み等)」と「翌年度の住民税の減額」に分かれて反映されます。
- ワンストップ特例を利用する場合:所得税からの還付はなく、その分も含めて「翌年度の住民税からの減額」として全額まとめて反映されます。
■ 法人名義で行う場合は要注意!
経営者の方から「会社のお金でふるさと納税をして、返礼品を受け取れないか?」とご質問をいただくことがあります。しかし、法人名(企業名義)でふるさと納税(企業版ふるさと納税)を行った場合、ルールにより返礼品は一切受け取れません。
お肉やフルーツなどの返礼品を楽しみたい場合は、会社としてではなく、必ず「個人名義(ご自身の所得)」で通常のふるさと納税を行う必要があります。
【注意】経営者は「簡易シミュレーション」を信じないで!
10月の改正前に駆け込みで寄附をしようとする際、ふるさと納税サイトの「年収を入れるだけの簡易シミュレーション」を使う方が非常に多いです。しかし、個人事業主や会社経営者の方がこのツールをそのまま使うと、上限額を見誤ることが多々あります。
なぜなら、ふるさと納税は「いくら寄附しても2,000円で済む」魔法の制度ではなく、住民税の特例控除には「その年の所得」に応じた上限が厳格に決まっているからです。
■ 上限額が下がる「所得控除」の盲点
ふるさと納税の上限額を計算する際に見落としがちなのが、「その他の所得控除」の存在です。
- iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
- 生命保険料控除
- 住宅ローン控除
これらがある場合、課税される所得が減るため、比例してふるさと納税の上限額も下がります。一般的な年収だけのシミュレーションではこれらが加味されないことが多く、結果的に限度額オーバー(自己負担増)になる原因となります。
個人事業主・経営者は「年末の所得予測」が重要
シミュレーションの問題に加えて、個人事業主は売上や経費によって年間所得が変動するため、年収だけを使った簡易ツールでは正確な上限額が出にくいという特徴があります。
また、会社経営者であっても、役員報酬以外に事業所得や不動産所得などがある場合は、それらを合算して計算しなければならないため注意が必要です。
そのため、10月の改正に焦って年の前半に上限いっぱいまで寄附するよりも、年末に年間の所得をある程度予測してから、追加の寄附額を最終決定する方法をおすすめしています。
特に、以下のような出費があった年は上限額が変わる(下がる)可能性が高いため、必ず年末の着地見込みを確認しましょう。
- 設備投資を行った
- 大きな経費が発生した
- 多額の医療費がかかり、医療費控除を受ける予定がある
まとめ:改正に慌てず、自社の「所得予測」を最優先に
2026年10月から、ふるさと納税の返礼品に関するルールが一部変わります。しかし一方で、ふるさと納税による税金の控除の基本的な仕組みがなくなるわけではありません。
大切なのは、「いつ寄附するか」というタイミングだけではなく、ご自身の今年の所得を見ながら、控除上限額を正確に確認して活用することです。自己負担を実質2,000円に抑えるためのステップは以下の通りです。
- まず自分の上限額の「目安」をざっくりと把握する
- 年末に事業の着地(所得見込み)を確認して、上限額を再計算する
- すでに寄附した金額を差し引き、年末ギリギリで追加額を決める
- 翌年、住民税決定通知書で控除が漏れていないか答え合わせをする
私たち秋野彰子税理士事務所は、「私の上限額はいくらですか?」というご質問に対し、ただ数字をお出しするだけではありません。経営者ご自身が自社の業績の着地を予測し、数字をコントロールしていくための「後押し」をいたします。
年末が近づいてから慌てないためにも、そろそろ今年の着地見込みの試算や、法人税・所得税のトータルでの税金対策について客観的な「助言」が必要な時は、ぜひ専門家である私たちにご相談ください。
